消費税仕入税額控除の95%ルールの見直し
9月に入りました。
新しい野田政権。
松下政経塾第一期生ということで、なんとなく私は応援してしまいますが
さてさて、今後の税制改革でどんな手法をみせていただけるのでしょうか。
平成23年度の大きな税制改正で目立たないけれど、
実務上とても大きい影響がでる改正があります。
消費税仕入税額控除の95%ルールの見直しです。
消費税は、事業者が国に納付する場合に、
顧客から預かった消費税(仮受消費税)から、その事業者が負担している
消費税(仮払消費税)を控除して計算をします。
これを仕入税額控除と呼びます。
今までは、この仕入税額控除を計算するときに、
課税売上割合(受取利息や土地の譲渡などの非課税の売上と
課税売上を合算した金額のうち、課税売上が占める割合)が95%以上であれば、
全額控除ができます。
これを95%ルールと呼んでいます。
不動産業や医療法人などの特定の業種を除くと、
多くの企業がこの95%ルールにより、仮払消費税の全額を控除しています。
これは事業者の事務負担を考慮した例外です。
ところが、平成23年度税制改正では、
平成24年4月1日以降開始する課税期間から、「95%ルール」の適用対象者を
中小事業者(1年間の課税売上高が5億円以下の事業者)に限定するとなっています。
つまり、その課税期間の課税売上が5億円を超える事業者は
95%ルールが使えなくなります。
95%ルールが使えなくなるとどのようになるのかというと、
① 仮払消費税の金額に課税売上割合を乗じて控除できる金額を計算する
(一括比例配分方式)か、
② 仮払消費税を、課税売上に対応するものと、課税売上・非課税売上に
共通して対応するもの、非課税売上に対応するものに区分した上で、
共通の金額に課税売上割合を乗じた上で、課税売上対応の金額と合算して
控除する(個別対応方式)によることになります。
難しいことばかり書きましたが、要するに、事業者は、何かを買ったときに支払った消費税が、
① 課税売上のために買ったのか?
② 非課税売上のために買ったのか?
③ 両方の売り上げのために買ったのか?
を判断しなければいけません。
そしてきちんと取引のたびに、仕訳し記帳しなくてはいけません。
決算の時にやればいいや!なんて思ってはいけません。
記帳を代行業者にまかせていたら大変なことになるかもしれません。
課税売上が5億円超になることが見込まれる場合には、
手間暇をかけて、仮払消費税を区分しなければ損をしてしまうことが
あるということになります
じゃあ、預金利息のみが非課税売上になる場合、
この利子にかかった経費がないとするのは間違いだそうです。
預金を管理するところがあり、そこにかかった光熱費や消耗品や備品は
課税売上、非課税売上共通に要する課税仕入れとみなされるようです。
消費税の理論上は、極めて正当な考え方ではあるのですが、
実務上は大変だと思います
消費税の増税議論を本格的にする前に、
一般には分らない形で増税が進んでいます。
専門家はキチンと説明していく責任があると思います。
新しい内閣になって、今後、どう引き継がれていくのか
注目していきたいと思います
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