国税庁は、このほど、平成26年7月1日現在の法令・通達等に基づく質疑応答事例を更新し公表しました。

その中で、相続税及び財産評価関係では、新たに5事例に関する取扱いについて追加掲載されていますので、そのうちの「小規模宅地等の特例」に関する事例について紹介します。

老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例
(平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合の取扱い)

【照会要旨】

 被相続人は、介護保険法に規定する要介護認定を受け、居住していた建物を離れて特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)に入所しましたが、一度も退所することなく亡くなりました。
 被相続人が特別養護老人ホームへの入所前まで居住していた建物は、相続の開始の直前まで空家となっていましたが、この建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当しますか。

【回答要旨】

 照会のケースにおける、被相続人が所有していた建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになります。
(理由)
 平成25年度の税制改正において、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等の場合であっても、1被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び2その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」といいます。)に入居又は入所(以下「入居等」といいます。)していたことという要件を満たすときには、その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで居住の用に供されていた宅地等(その被相続人の特別養護老人ホーム等に入居等後に、事業の用又は新たに被相続人等(被相続人又はその被相続人と生計を一にしていた親族をいいます。以下同じです。)以外の者の居住の用に供されている場合を除きます。)については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たることとされました。
 なお、この改正後の規定は、平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合について適用されます。

(注)被相続人が介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていたかにより判定します。
 したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていれば、老人ホーム等に入居等をする直前まで被相続人の居住の用に供されていた建物の敷地は、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになります。

投稿者: 水戸聖子税理士事務所