昨日、「武富士」旧経営陣に55億円の賠償求め提訴のニュースが
でていました。

ちょうど一年前の事務所通信で、
東京地裁では、武富士長男側の勝訴、次の東京高裁では一転して国側勝訴
のお話をかきました。

そこで、最高裁の結論に 大変注目が向けられました。
そして、2月に最高裁は、武富士長男側勝訴、国の敗訴を決定しました。 

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最高裁の事件の判決文もDLできます。
  
裁判に至るまでの内容は次の通り。   
  当時武富士の香港法人代表を務めていた武富士創業者の長男は、
 平成11年に武富士株を大量に保有するオランダ法人の株(1653億円相当)を
 両親から生前贈与されまさした。当時の税法では海外居住者が 
  海外財産を贈与された場合については課税対象外とされていたため、
 長男は贈与税の申告をしなかったのですが
 国税当局は「贈与税回避のための移住したかたちを作っただけで、
 実質的な居住地は日本」と 判断して、1653億円という贈与税としては
 史上最高の申告漏れを指摘。無申告加算税173億円を含む 
  1330億円の追徴課税を行ったことから、裁判に至りました。 

この裁判は、2つの点で注目を浴びました。   
まず一点は、租税回避の意図・行為をどこまで評価に考慮するかということ。
一審では生活の根拠を香港とし二審では日本にあると判断しました。
香港滞在はおおがかりな節税対策だと思われますが、それをどこまで   
裁判に考慮するかというところ、最高裁では、香港を生活の本拠としました、
つまり、租税法律主義を重視、法に無い以上、
不利益処分は課さないとしたことになります。   

第2点は、タイトルにもあるとおり、還付加算金の行方です。
武富士側は一旦納税をしているので、勝訴を受け 
年4%の利子にあたる還付加算金400億相当もふくめ還付されます。

さて、この還付加算金の行くへは?   
還付加算金は雑所得になるので半分くらいは税金で戻りますが、
のこりでも200億近く。   

先月末、従業員の8割が退職し、こんどは旧経営陣に対する提訴。
過払い金の準備としてあてるのか。今後も注目です。

投稿者: 水戸聖子税理士事務所